坂本和也展 『a ripple』

坂本は、画面に一切に触れずに描く。という制約のもと作品制作を行っている。 筆の先に少量の絵の具をつけ、指で筆を弾きながら画面を作り上げて行く。
また坂本は絵を描く行為と同等に川釣りを愛している。つい先日のhintenのミーティング中(坂本君は現在hintenの メンバーだよ☆)釣り雑誌から坂本に電話があり、先日釣り上げた巨大なサクラ マスについて取材をしたいのだという。
坂本は故郷である鳥取にて、日も明けぬ早朝より釣りに出掛ける。長靴とズボンが繋がったようなもの(あれは何て名称!?) を腹の辺りまで履き、独り、川の中へ進んで行く。
聞こえるのは、川のせせらぎとリールを巻く音。水面に写る日のひかり、水の波紋。

坂本はこの光景になんとも言えぬ精神性を感じているようだ。絵の事を含め全て の事をクリアに考える事のできる時間と 空間を手に入れれるのだという。現在、坂本は名古屋市芸術大学洋画コースに在学している。名古屋に巨大なサクラマス が生息するような美しい川が存在するとは思えない。そこには遠い距離がはばかる。

大学での始めての自由制作の時点で、すでにこの絵画スタイルは確立されていたそうだ。坂本はつねに故郷の美しい川とリンクしている。「yard」 「ripple」2つの名しか持たない作品達から、私達は 坂本独自の感覚を共有することができる。


漫画家 浦沢直樹(代表作に「20世紀少年」「YAWARA」など)が言っていた。 制作にいきづまった時、自分の好きなものを書き出せ。そしてその書き出したも のの共通点を探せ。そうすれば何かが分かる。私も文章を書くのにいきづまった。ここに事前に聞いておいた坂本の好きな ものを書いておく。私と一緒に坂本の作品 に存在する「何か」を一緒に作品と照らし合わせながら探っていきませんか。


※2月のオープン時より始まった企画も今回でラストとなりました。会場に足を 運んで下さった皆様に感謝いたします。現在hintenは新メンバーを加え 7名で運営しております。今後とも企画展、イベント、レンタル、リサイクルシ ョップ、ガンガンおもろい企画を盛り込んでいきます。末永くお付き合い していただければ幸いです!!長々と文章読んでいただきありがとうございました。

企画者 山下拓也